安全な町に

 桜の開花予報が賑やかになる頃、冨士霊園の桜の満開日を予想して町が主催する『鮎沢川・酒匂川流域を語る会』が開催される。昨今の気まぐれ気象に担当職員は悩まされる。 
 15年前の平成22年9月、未曽有の豪雨による山腹崩壊で大量のスコリアが流出し、流木と共に酒匂川の河床を埋めた。スコリアとは火山からの噴出物で、気泡が多く黒っぽい岩石。一部は遠く相模湾まで達し、漁業関係者に影響が及んだ。 
 鮎沢川・酒匂川では雨のたびに、程度の違いこそあれスコリアが流れる。迷惑を被る下流域の多くの人が町の山腹崩壊の現状を視察した。そして、官民の各方面が町の対応を注視していた。 
 被災後、下流域の市町への継続的な状況報告を責務と考え、年に一度開催してきたのが、冒頭の『語る会』だ。神奈川県西部2市8町の皆さまを迎え、林野庁、静岡県、小山町のそれぞれの取り組みを伝えている。 
 異常気象という言葉が毎年のように聞かれるようになった。 
 新年度を迎え、改めて早期の復旧工事の完了、森林整備に全力を注ぎ、安全な町小山町と胸を張りたい。