小山町トップ / 町政情報 / 町長室 / 晴れ晴れ(町長のエッセイ) / 「ハンセン病企画展」によせて

「ハンセン病企画展」によせて

 「ハンセン病」は、昔「らい病」と呼ばれ、患者は国の強制隔離政策により長年にわたり隔離され、差別、迫害、人権侵害を受けていました。新薬の開発により治る病気になったにもかかわらず隔離政策が続いていたところ、平成13年の熊本地裁判決を受け、国がこれまでの施策の誤りを認め、当時の小泉首相が謝罪しました。これを受け「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」いわゆる「ハンセン病問題基本法」が、議員立法により平成21年4月に施行され、現在、国は療養所入所者に対する療養及び生活保障などの恒久対策を実施しています。ハンセン病元患者の方々は既に高齢となっており、十分な医療・看護・介護等の提供が必要です。また、元患者の方々が受けた差別と偏見、人権侵害の歴史の後世への継承、そして、家族を含めた人権・尊厳、名誉の回復が求められています。
 元患者の皆様が入所する施設は、全国に14施設あり、県内では御殿場市に、神山復生病院と国立駿河療養所の2施設があります。神山復生病院以外は全て国立のハンセン病療養所で、全国12の市町に、13の施設が存在しています。
 私は、県議会議員になってからずっと「ハンセン病」に係る一般質問や委員会質問を通じて静岡県、そして、県民の皆様に「ハンセン病」に対する理解を得る活動を続けていました。また、毎年県議会厚生委員会の正副委員長と一緒に御殿場市内にある両施設を訪問し、施設内で亡くなられた方が埋葬されているお墓に献花をするとともに、入所されている県内出身の方々とお話をし、また、皆様が制作された絵画や写真を見せていただき、中には歌唱力に優れた方もおられ、歌を聴き、楽しませていただいていました。
 国立駿河療養所を退所された方々で「さくらの会」を結成され、相互の親睦を図る事業やさまざまな福利厚生事業などを実施するとともに、偏見や差別、人権侵害の歴史を後世に伝える取り組みを行っており、私もメンバーとなって一緒に活動していました。 最近では、子どもたちや神山地区を中心とした地域の皆様など多くの方々が駿河療養所を訪問され、入所されている方々との交流が盛んに行われています。私も、バンド演奏慰問などで交流するとともに、県や国への要望事項の聞き取りなどで度々訪問していました。入所者自治会の主催で花火、盆踊り大会も毎年夏に実施されており、一緒に楽しませていただいていました。
 療養所は、基本的には、入所している元患者がいなくなれば廃止されます。設立当時470人ほどいた入所者も、現在は50人を切る状況となり、加えて、高齢化がますます進んでいく中で、医師や看護師などの医療スタッフは年々削減されており、現在入所されている方々の不安は高まっています。
 駿河療養所の将来については、御殿場市が主体となって設置した将来構想検討委員会においていくつかの案が示されましたが、構想実現に至る具体的なプロセス、スケジュール、アクションプランなどが示されていない状況にあります。入所されている方々のご意見を伺いながら、駿河療養所が、地域の医療や福祉、介護等施設として活用されるなど、入所されている皆様の不安が払拭される取り組みが必要です。
 人権教育の一環として、学校行事の中でハンセン病に係る映画観賞会や入所者自治会長さんの講話などが開催されている学校もありますが、一般の方々を対象に、6月17日から総合文化会館で「ハンセン病企画展」が開催されます。多くの皆様にご来場いただき、ハンセン病の歴史を学び、ハンセン病に対する理解を深めていただければ幸いです。