《全体構想》 第3章 都市基本計画
第3章 都市基本計画
1.土地利用基本計画
1.1 ゾーニング
 本町の将来土地利用のゾーニングを行うに際しては、豊かな自然を維持・保全し、将来にわたって継承していく自然的、農業的土地利用ゾーン、都市的生活を快適に営むことを目的とする都市的土地利用ゾーン、その他の土地利用ゾーンに大分類します。
 (1)自然的、農業的土地利用ゾーン
@ 自然環境保全ゾーン
 富士山麓、三国山系・丹沢山地、箱根外輪山・足柄山嶺における斜面緑地及び森林地域は、物心両面にわたって人々を育んできた本町の第一の財産です。この豊かな自然環境を将来にわたっても維持し、次世代に継承していくために、自然環境保全ゾーンとして位置づけます。
 このゾーンにおいては、自然環境の維持・保全を図るとともに、森林が持っているさまざまな機能(水源涵養、大気浄化、災害防止、風致保全、保健休養、木材生産等)を環境資源として活かしていきます。
A 農業緑地形成ゾーン
 町内の農業基盤整備地区、及び小山地域から北郷地域にかけての平地部に拡がる農用地、足柄地域の鮎沢川沿いに点在する農用地は、その豊かな自然性を活かした農業緑地形成ゾーンとして位置づけます。
 社会経済情勢の変化に伴って農用地面積は減少傾向にあるものの、歴史的に自然との共生を図ってきた農業緑地は、人々の生活のカテ糧を得る場として機能し、また本町の郷土景観を醸し出す重要な要素ともなってきました。今後は農産物の生産機能を維持しながら、ふれあい農園や市民農園など新たな利用方法についても検討していきます。
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休耕田に植えられたコスモス畑
 (2)都市的土地利用ゾーン
@ 生活環境向上ゾーン
 現在の4地域の中心及びその周辺に拡がる住宅地(主に現在の市街化区域)と、近年宅地開発が進んできた富士小山わさび平地区や須走の紅富台等は、生活環境向上ゾーンとして位置づけます。
 道路、公園、下水道等の生活基盤施設の整備や計画的な住宅・宅地供給、公共・公益施設の充実など、生活者の視点に立った環境整備を図ります。また地区計画の導入などにより、防災性の向上、美しい街並みの創出等による生活の質の向上を推進します。
 こうした施策により、人口減少に歯止めをかけ、町民の生活環境向上を図ります。
A 商業機能活性化ゾーン
 小山地域の(県)沼津小山線沿道、駿河小山駅周辺及び須走地域中心部の商業機能の集積地は商業機能活性化ゾーンとして位置づけ、商業機能の再生を図ります。
 消費動向の変化に伴って低下してきた商業機能を見直し、日常生活に必要な商業サービスの充実により、商業の活性化を図ります。
また、商工会活動の活発化と観光をはじめとする各種産業間の連携を図り、地域の特性に応じた商業施策を推進します。さらに、空き店舗などを利用した生活サービス事業や高齢化に対応した配達サービスの実施など、独自の商業サービスを促進します。
B 工業機能ゾーン
 既存の富士小山工業団地、ハイテクパーク富士小山等の工業団地及び新たに計画されている大胡田地区の工業団地は、工業機能ゾーンとして位置づけ、居住環境やレクリエーション施設など快適な定住環境の整備とあわせて、企業の立地誘導に努めます。
 また、敷地内の緑化などにより、周辺環境との調和を図るとともに、環境負荷の軽減、省資源、省エネルギー化の促進に努めます。
C 研修・研究機能ゾーン
 企業の研修・保養施設の立地が進められてきた東富士リサーチパーク及びその周辺等は研修・研究機能ゾーンとして位置づけ、今後とも、敷地内の緑化などにより周辺環境と調和した豊かな自然環境を守りながら、その機能充実を図ります。
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良好な自然環境を有する東富士リサーチパーク
D 複合機能ゾーン
 北郷地域から小山地域にかけて拡がる湯船原地区は、平地の少ない本町のなかでは、比較的平坦でまとまった面積を有する開発可能地であり、首都圏への近接性と自然環境の良さを背景として、過去、「湯船原ニュータウン開発構想」が持ち上がってきました。その後の経済情勢や周辺環境の変化に伴い、同事業は現在までには実現に至っていませんが、湯船原地区の開発の可能性自体は、何ら否定されるものではありません。
 地区内に計画されている第二東名自動車道の開通を本町の発展に結びつけるために、湯船原地区を各種機能を兼ね備えた複合機能ゾーンとして位置づけ、第二東名自動車道及び開放型休憩施設の事業実現と歩を一つにした整備のあり方を、官民あげて検討します。

 また、足柄地域における新宿区立足柄学園跡地や温泉会館構想地等にかけての周辺地区を、文教厚生施設や住宅などを兼ね備えた複合機能ゾーンとして位置づけ、その機能充実を図ります。
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湯船原地区における複合機能の整備構想
 (3)その他の土地利用ゾーン
@ 東富士演習場関連ゾーン
 東富士演習場地域は、国家的観点からその配置が行われ、今後ともその存続が見込まれる地域であることから、東富士演習場関連ゾーンとして位置づけます。
 本町においては須走地域と共存共栄してきた歴史をも持っていることから、演習場の所在が町民生活の弊害にならないように留意の上、関係機関との協議を重ね、町民の民生安定を図ります。
A 大規模観光交流拠点活用ゾーン
 首都圏に近接する立地条件の良さから、本町には、広域的な観光・レクリエーション施設が多数分布しています。そのなかでもモータースポーツの草分けである富士スピードウェイ、日本一広い公園墓地である冨士霊園は、自然環境の良さともあいまって、首都圏から多くの観光客等を誘致しています。今後、第二東名自動車道の整備及び開放型休憩施設の設置が実現すれば、広域的な交流機会はさらに増大するものと考えられます。
 そのため、この周辺を大規模観光交流拠点活用ゾーンとして位置づけ、富士スピードウェイの改修や周辺整備について検討していきます。
 また増加が予想される自動車交通に対しては、渋滞解消のための交通アクセスの検討や道路網の整備を図っていきます。
B ゴルフ場
 町内に多数点在しているゴルフ場は、ほとんどが自然環境保全ゾーンのなかに位置していることから、周辺環境との調和を図りながら、健全な環境維持に努めていきます。
 また、首都圏及び近隣市町村から来訪している多くのレクリエーション客を交流人口として位置づけ、地域の活性化を図る方法を検討していきます。