《まちづくりの実現に向けて》
《まちづくりの実現に向けて》
1.まちづくりの進め方
(1)まちづくりへの動き
 上位計画における将来都市像の考え方を反映し、関係行政機関との調整を図りながら、多くの町民の参加と協力により取りまとめられた「小山町都市計画マスタープラン」は、これからの小山町の都市計画の基本的な考え方を示すものです。
 今後、この都市計画マスタープランを基にまちづくりを実現していくために、様々な都市計画の決定や見直し、各種事業やまちづくり施策への取り組み、規制・誘導施策やまちづくりへのルールづくりが必要となってきます。
(2)まちづくりへの参加
 都市計画マスタープランに基づき、まちづくりを進めていく上では、そこに住む地域住民、町を訪れいつか小山町民となる人々、町に立地する企業などにより構成される町民の理解と協力が不可欠です。まちづくりへの発意の段階から町民が参加することにより、熟度の高いまちづくりを期待することができます。
 こうした町民主導によるまちづくりを進めるために、行政からの情報提供や人材育成、まちづくりに係わる団体の育成・支援、まちづくり条例の制定などを進めていきます。
2.まちづくりの施策展開
(1)都市基本計画の展開
  都市基本計画で定められた各分野の方針は、次のように施策の展開を進めていきます。
@ 土地利用基本計画
ゾーニング形成………… ・「整備、開発及び保全の方針(県都市基本計画)」による区域区分の見直しなど
・用途地域の見直し、地区計画の導入など
・「市街地整備計画」の策定
・「緑の基本計画」の策定
・「住宅マスタープラン」の策定
・土地区画整理事業など市街地整備事業の実施
・条例、開発指導要綱などによる土地利用の規制・誘導
拠点形成……………… ・土地区画整理事業など市街地整備事業の実施
・コミュニティ施設の整備
・民間企業の誘致
A 都市施設基本計画
道路の整備方針………… ・道路網の都市計画決定、見直し
・都市計画道路事業の実施、県道整備事業への働きかけ等・市街地整備事業などによる面的な道路整備
・生活道路網計画の策定と生活道路整備
・「道の駅」の実現に向けた関係機関との協議
公共交通機関の整備方針… ・鉄道事業者、バス事業者への要請と協議
・関係機関との協議
・駅前広場の見直し、整備
公園緑地の整備方針…… ・「緑の基本計画」の策定
・公園緑地の都市計画決定
・特色ある公園整備、親水空間としての河川整備
・都市緑化の推進施策の立案
・緑地協定の締結、緑化重点地区の整備
下水道の整備方針……… ・公共下水道事業、農業集落排水事業の推進
・合併処理浄化槽の設置促進
・条例、開発指導要綱などによる規制・誘導
河川の整備方針………… ・河川改修事業などの実施
B 都市環境基本計画
自然の環境向上………… ・農業生産基盤の整備、集落環境の整備
・林業生産基盤の強化、森林の保全・育成と森林資源の
 活用
・条例、開発指導要綱などによる規制・誘導
生活の環境向上………… ・「住宅マスタープラン」の策定
・建築協定の導入、景観条例の制定などによる規制・誘導
産業の環境向上………… ・開発指導要綱などによる規制・誘導
・道路環境の整備
(2)計画の管理・運営
 都市計画マスタープランに基づいた小山町のまちづくりを実現させていくためには、適時適切な計画の管理・運営が必要となってきます。定期的に計画の検証を行うことで、より効率的・効果的にまちづくりを進めていくことが可能になります。
 また本計画は、20年後を目標にまちづくりの方針を定めるものであり、基本的に本計画によってこれからの町の都市計画が進められるものですが、まちづくりの方針に影響を与えるような状況の発生や、経済社会情勢に変化が生じた場合には、計画策定時に準じた手続きにより見直しを図っていきます。
 このように都市計画マスタープランの管理・運営を行いながら、本町の独自性を発揮した個性豊かなまちづくりの実現を図っていくものとします。
3.市街化調整区域における地区計画適用についての基本的な方針
(1)地区計画の適用に関する基本的な方向
 本町の将来像「富士のふもと 人々のふれあう 心豊かなふるさと・おやま」の実現のためには、現在の市街化調整区域における土地利用のあり方が問われることになります。
 市街化調整区域は、都市計画法上市街化を抑制すべき区域とされ、本町においても小山、足柄、北郷、須走の各集落地を中心とする市街地以外は、基本的に開発を抑制すべき地域として市街化調整区域が定められており、市街化調整区域の指定によって、乱開発が抑制され、集落地を取り巻く豊かな自然が守られています。
 しかし一方で、市街化調整区域においても良好な居住環境の維持形成や地域の活性化への対応が求められてきており、これを受けて都市計画法上も、平成5年には市街化調整区域の地区計画制度の創設が、また平成10年には市街化調整区域の地区計画制度の策定対象地域の追加が行われています。
 広域的な交通条件に恵まれていることで、首都圏から多様な観光交流の入り込みがある本町においては、こうした需要の受け皿として、既存の市街地、集落地のほか、現在の市街化調整区域における土地利用及び施設整備のあり方が課題となっており、適切な規制及び誘導が、自然を守りながら地域活性化にもつながっていくものと考えられます。
 上記のような考え方に立ち、本町においては、都市計画区域の《全体構想》、《地域別構想》で示されているそれぞれの将来計画・構想を即地的に実現していく手法のひとつとして、市街化調整区域における地区計画制度の活用を図っていきます。
 またその運用にあたっては、無秩序な開発を防止し、それぞれの地域の課題に対応した開発(主に小規模開発)を計画的に規制・誘導していきます。さらに、市街化調整区域の性格を踏まえ、自然環境の保全、周辺の景観、営農条件等との調和、地域の活性化等について、地区の特性から必要な事項を地区計画の目標として明らかにしていきます。
(2)地区選定に係る事項
 市街化調整区域における地区計画制度を適用すべき土地の区域は、将来の想定市街地、市街化調整区域に位置する拠点、及び大規模観光交流拠点の周辺地が想定されます(候補地区)。
〔将来の想定市街地〕 ・中島・柳島地区、城山地区、一色島土地区(いずれも住居系土地利用)
・大胡田地区(工業系土地利用)
〔市街化調整区域に位置する拠点〕 ・野外活動交流拠点
・広域レクリエーション交流拠点
・道路交通サービス交流拠点(国道138号、東富士五湖道路及びふじあざみラインの結節点)
・広域都市交流拠点(第二東名自動車道への開放型休憩施設)
・広域都市交流拠点(東名高速道路足柄バス停及び温泉会館)
〔大規模観光交流拠点の周辺地〕 ・大規模観光交流拠点の周辺地(富士スピードウェイの周辺整備)
(3)地区計画の内容
 地区計画の導入にあたっては、地区の特性にふさわしい良好な都市環境の維持及び形成を図るため、当該地区計画の目標、土地利用の方針、地区施設の整備方針等を明らかにし、また具体的な地区整備計画の立案にあたっては、施設配置及び規模など地区施設に関する事項、建築物の用途・容積・建ぺい率などに関する事項、土地の利用に関する事項について、必要な事項を適切に定めていくものとします。
@ 地区計画の目標
 地区の現状と課題を踏まえ、当該地区の目指す地区計画の目標を示していきます。特に交流に主眼を置いた拠点については、目指す交流の内容に見合った地区の整備のあり方について目標を設定していきます。
A 土地利用の方針
 開発を抑制すべき市街化調整区域の性格を踏まえながら、自然環境の保全、周辺の景観、営農条件等との調和を図った土地利用の方針を示していきます。
B 地区施設の整備方針
 地区計画の目標及び土地利用の方針に則り、建築物の形態、意匠と周辺の自然環境や景観との調和の考え方を示していきます。
C その他の整備方針
 合併処理浄化槽の設置の義務づけ、地域住民との話し合い等により定めたルールなど、地区整備計画において定める項目のない事項についての考え方を示していきます。
D 地区整備計画の内容
 @〜Cに即した地区施設の配置及び規模、建築物等に関する事項等必要な内容を適切に定めていきます。
地区施設の配置及び規模
・道路の配置及び規模
・公園・緑地・広場、その他の公共空地の配置及び規模
建築物等に関する事項
・建築物等の用途の制限
・容積率の最高限度
・建ぺい率の最高限度
・敷地面積の最低限度
・壁面の位置の制限
・建築物等の高さの最高限度
・建築物等の形態・意匠の制限
・かき・さくの構造の制限
・土地の利用に関する事項