富士山
特集

雄大なる富士の景色は百面百様。
富士山の価値を構成する小山町の資産を紹介します。

富士山の自然

特別名勝富士山

富士山は、日本の象徴であり、世界に類のない名山です。
国では、いつまでもこの富士山の姿を残そうとして、名勝中の名勝として「特別名勝」の指定をして、保護につとめています。
この日本人の心のよりどころしている富士山は、万葉のむかしから今日まで、山部赤人をはじめとして、数多くの人によって歌によまれ、詩に文学に表現されています。また、葛飾北斎、歌川広重をはじめとして、日本人画家のの多くが、一度は絵に描いています。
富士山は名山というだけでなく、ふもとに数多くの貴重な自然を擁しています。その中で、溶岩洞穴、溶岩樹型、富士山原始林など18件が天然記念物の指定受けています。特別名勝指定は昭和27年です。

富士山の成り立ち

富士山はもともと海底火山で、箱根火山や愛鷹火山よりも新しいものです。海底に少しずつ溶岩や砂れきが積み重なり、それが隆起して富士山の土台が作られました。その上に、最初に噴火したのが小御岳(こみたけ)火山です。(50万年から77万年くらい前といわれています)、次いで、今から2万年ほど前、古富士火山が噴火して、広い裾野をもつ今の富士山の原形が作らました。
その後、1万年ほど前になると、数百回に及ぶ大噴火がくりかえされ、溶岩を流したり、火山れきや火山灰を降らせたりして、小御岳火山や古富士火山をほとんど埋め尽くしました。そして、5000年前、コニーデ式の火山をつくりあげました。
これが、現在の新富士火山です。

富士山の雲

富士山のふもとの農家にとって、富士山にかかる雲は、明日・明後日の天候を知る重要な手がかりでした。
「富士山に笠雲がかかれば雨が近い」ことを知り、「夕方、山晴れて雲がなければ明日晴れる」ことを知りました。
これらは、先祖から語り伝えられた知恵でした。また、富士山にある雲は、その美しさを一層ひきたたせ、あるときは神秘的な気高ささえ生み出します。

笠雲

笠雲は、笠をかぶったような形で、頂上付近に比較的長時間にわたって静止している雲のことです。これは、乾燥して冷たい気流の上に、湿った暖かい気流が重なって山を越えるとき、頂上付近で暖かい気流が冷やされて雲になったものです。

つるし雲

富士山東側の空間に静止して浮かぶ雲で、天からつるしているように見えることから名付けられました。これは、風上から流れてきた空気がこの位置で雲になるためできるものです。気流は次々に動いていて、この位置を離れて風下に行くと、もとの空気にもどるため、静止しているように見えるのです。

 

富士山の植物

植物は種類によって、生育する土地の高さが大体決まっています。
500メートル以下の丘陵地帯には、カシ、シイなどの林があります。500メートルから1,000メートルの山地帯には、広大なススキ草原があります。
1,500メートルから2,500メートル以上の高山帯には、カラマツ・ダケカンバなどの林が多くあります。
富士山は、約5,000年ほど前に噴火を繰り返してできあがった山です。当時は、全体が溶岩と砂・火山灰でできていました。
地面はすぐ乾き、栄養分もなく、加えて風も強く、とても植物が生える条件ではありませんでした。それに平地にそびえるような山なので、他の山から種子が風で運ばれるようなことも少なかったようです。

現在生えている植物は、荒地でも生きられる植物が、ふもとから少しずつ取りついたものが始まりと考えられます。フジアザミ、オンダテ、ミヤマイタドリ、ムラサキモメンヅルなどがそれらです。これらの植物は、根を深く広くはって安定させ、少ない水分を吸収して生きる強い生命力を持つものばかりです。
これら開拓者のような植物が生えると、地中に栄養物がたまり、砂も根の力で砕かれ、他の植物も生えやすい条件となりました。
そうなると、日当りを好むカラマツやダケカンバなど木が生え出し、開拓者のような植物は追われ、更に上に上がります。日当りを好む木も、その下から生え出し、高木となるシラビソ、コメツガなどに日当りを奪われ、さらに上に上がります。
こうして、富士山の植物は、開拓と乗っ取りを繰り返し、上へ上へと発達してきました。

現在、開拓者のような植物は、5,000年かかり、3,300メートル付近までたどりついています。しかし、御殿場口登山道付近は、宝永の噴火後300年しかたっていないため、他に比べずっと低くなっています。
現在、富士山に生えている植物は、種子植物約1,200種、シダ類約100種、こけ類約400種、きのこ類約200種といわれています。
この中には、フジザクラ・フジアザミ・フジハタザオというように富士の名を冠したものが多くあります。これらは富士山で最初に見つけられたから、とか、ここに多く生えているから、ということで名付けられたものが大部分です。富士山固有の植物はフジハタザオなどわずかです。

富士山の動物

富士山は長い間、動物の天国でした。しかし、ふもとに人が住みつくようになると、次第に減少し、今はわずかしか住んでいません。現在、約40種類の動物が住んでいます。

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