○小山町中小企業・小規模企業振興基本条例
令和3年9月28日
条例第26号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 中小企業・小規模企業の振興に関する基本理念等(第3条―第11条)
第3章 中小企業・小規模企業の振興に関する基本方針(第12条)
第4章 小規模企業者等に関する施策(第13条・第14条)
第5章 施策を推進するための措置(第15条―第20条)
第6章 雑則(第21条)
附則
富士山頂のあるまち小山町は、静岡県の最北東に位置し、豊かな水と自然に囲まれ、首都圏からほど近く町内を東名高速道路や国道246号、138号が走る交通の要衝であり、古くから商業及び工業の近代化を進め発展してきた。
このような本町の産業の発展を支えてきた中核は中小企業・小規模企業であり、長年にわたり地域経済を支えるとともに、地域のにぎわいづくりに貢献するなど、本町の発展に果たしてきた役割は非常に大きい。
しかしながら本町の中小企業・小規模企業は、少子高齢化、人口減少、働き手の不足、時代の変化等による様々な課題を抱えている。
このような中で中小企業・小規模企業が持続的に発展していくためには、自らの強みや弱みを踏まえて計画的かつ主体的に経営の向上に努めることはもとより、地域社会全体が、地域の発展のために中小企業・小規模企業が不可欠であることを改めて認識する必要がある。
よって私たちは、中小企業・小規模企業の振興を本町の重要な施策の一つとして位置付けるとともに、町、中小企業・小規模企業、支援団体、金融機関等、教育機関等、大企業者、町民等が果たすべきそれぞれの責務、取組、役割を明確にし、共に中小企業・小規模企業の振興を図るため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、中小企業・小規模企業の振興について、基本理念及び基本方針を定めるとともに、町の責務、各主体の役割等を明らかにし、相互に協力することで、その振興に資する施策を総合的に推進し、もって本町経済の持続的発展及び雇用の創出を図り、豊かで活力ある地域社会の実現及び町民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者又は小規模企業振興基本法(平成26年法律第94号)第2条第2項に規定する小規模企業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(4) 支援団体 商工会法(昭和35年法律第89号)に規定する商工会、中小企業等協同組合法に規定する中小企業団体中央会、農業協同組合法(昭和22年法律第132号)に規定する農業協同組合その他の中小企業者又は小規模企業者の支援を行う団体(商店街等組織を除く。)をいう。
(5) 金融機関等 銀行、信用金庫その他の金融業を行う者及び信用保証協会をいう。
(6) 教育機関等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校その他の教育機関、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第16条第1項及び第2項に規定する公共職業能力開発施設その他の研究開発等を行う機関をいう。
(7) 大企業者 中小企業者又は小規模企業者以外の事業者(会社及び個人に限る。)であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(8) 町民等 町内に住所を有する者及び町内に通勤又は通学している者をいう。
(9) 商店街等組織 商店街振興組合法(昭和37年法律第141号)に規定する商店街振興組合、中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)に規定する事業協同組合(商業に係るものに限る。)その他これらに類するものであって、町内に事務所を有するものをいう。
(10) ローカルファースト 地域の目線に立って、地域を第一に、そして優先的に考え、地域の資源、文化、歴史を大切に、持続可能な地域社会を形成していくことをいう。
第2章 中小企業・小規模企業の振興に関する基本理念等
(基本理念)
第3条 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業が本町経済の活性化及び町民生活の向上に大きく貢献する重要な存在であることを踏まえ推進されなければならない。
2 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業の創意工夫及び自主的な取組を支援することを基本として推進されなければならない。
3 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業の成長発展及び事業の持続的発展を図ることを目的として推進されなければならない。
4 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業が物品の供給又はサービス若しくは技術の提供を行うに当たり、国内外にわたる地域間の自由な交易を基本として推進されなければならない。
5 中小企業・小規模企業の振興は、町内を含む近隣市町で生産され、製造され、若しくは加工される物品又は町内のサービス若しくは技術を本町への来訪者その他町外の居住者に提供することにより町外からの資金を獲得することで、地域経済の拡大に資するよう推進されなければならない。
6 中小企業・小規模企業の振興は、市場原理を基本としつつも、ローカルファーストの考え方に基づき、町内を含む近隣市町で生産され、製造され、若しくは加工される物品の原料等を優先的に町内を含む近隣市町から調達するとともに、その物品又は町内のサービス若しくは技術の提供を受けることで、地域経済の循環の強化に資するよう推進されなければならない。
7 中小企業・小規模企業の振興は、豊かな自然及び歴史に育まれ、この地域特有の文化に培われた多様な人材、高い技術力その他の地域資源の持続的な育成及び活用を図ることにより推進されなければならない。
8 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業、支援団体、金融機関等、教育機関等、大企業者、町民等、国、県及び町の連携並びに協力を基本として、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を推進する者が相互に交流することにより推進されなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を策定し、実施する責務を有する。
2 町は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の推進に当たっては、中小企業・小規模企業、支援団体、金融機関等、教育機関等、大企業者、町民等、国、県その他の関係者と連携並びに協力し、効果的に施策を推進するよう努めるとともに、必要な情報の収集及び提供を行うものとする。
3 町は、地域社会における中小企業・小規模企業の重要性について、町民等の理解を深めるよう努めなければならない。
4 町は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を推進するため、人事交流を含む各種研修を通じて、職員としての基礎力並びに産業振興を推進する専門的な知識及び経験を有する職員の育成に努めるものとする。
(中小企業者の取組)
第5条 中小企業者は、基本理念にのっとり、経済的社会的環境の変化に対応し、事業の成長及び健全な発展を図るため、自主的に経営の改善及び向上を図るよう努めるものとする。
2 中小企業者は、自らが地域経済の基盤を形成していることを認識し、雇用機会の確保及び人材の育成に努めるとともに、従業員等が仕事と生活の調和を図ることができる環境の整備その他の労働環境の整備に自主的に取り組むよう努めるものとする。
3 中小企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、地域が取り組むまちづくりの活動に貢献するなど、地域社会と協働することで、地域社会の持続的発展及び町民生活の向上に寄与するよう努めるものとする。
4 中小企業者は、自らの経営力を強化するため、支援団体、金融機関等を活用し、経営等に関する情報の収集及び相互の交流に努めるものとする。
5 中小企業者は、計画的に後継者等の育成に取り組み、事業の継続及び円滑な事業の承継に努めるものとする。
6 中小企業者は、町内を含む近隣市町で生産され、製造され、若しくは加工される物品又は町内のサービス若しくは技術を本町への来訪者その他町外の居住者に提供することにより、町外からの資金の獲得に努めるものとする。
7 中小企業者は、ローカルファーストの考え方に基づき、町内を含む近隣市町で生産され、製造され、若しくは加工される物品の原料等を優先的に町内を含む近隣市町から調達するとともに、その物品又は町内のサービス若しくは技術の提供を受けるよう努めるものとする。
8 中小企業者は、教育機関等と連携し、職場体験その他の職業に関する理解を深める学習に関与し、及び協力するよう努めるものとする。
9 中小企業者は、国、県及び町(以下「町等」という。)が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(小規模企業者の取組)
第6条 小規模企業者は、基本理念にのっとり、経済的社会的環境の変化に対応し、事業の持続的な発展を図るとともに、地域の特色を生かした事業活動に取り組むため、他の小規模企業者、支援団体等、多様な主体との連携及び協働を推進し、自主的かつ創造的な事業の運営に努めるものとする。
(支援団体の役割)
第7条 支援団体は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の実態を把握し、中小企業・小規模企業の経営の改善及び向上に対して支援するよう努めるものとする。
2 支援団体は、中小企業・小規模企業の事業活動に必要な情報を収集し、及び提供するとともに、町内における起業又は創業に対して支援するよう努めるものとする。
3 支援団体は、中小企業・小規模企業の事業の継続及び円滑な事業の承継に対して支援するよう努めるものとする。
4 支援団体は、町等が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(金融機関等の役割)
第8条 金融機関等は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の資金需要に対して適切に対応することにより、中小企業・小規模企業の経営の改善及び向上に配慮するよう努めるものとする。
2 金融機関等は、中小企業・小規模企業の経営力を高めるため、新規取引先の開拓、商談機会の提供、研修の実施等総合的な支援を行うよう努めるものとする。
3 金融機関等は、町内における起業又は創業に対して支援するよう努めるものとする。
4 金融機関等は、中小企業・小規模企業の事業の継続及び円滑な事業の承継に対して支援するよう努めるものとする。
5 金融機関等は、町等が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(教育機関等の役割)
第9条 教育機関等は、基本理念にのっとり、職場体験その他の職業に関する理解を深める学習を通じて、児童、生徒及び学生の職業及び勤労に対する健全な意識の醸成及び育成に努めるものとする。
2 教育機関等は、中小企業・小規模企業が行う研究開発、技術の向上及び人材の育成に対する協力その他の必要な協力を行うよう努めるものとする。
3 教育機関等は、町等が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(大企業者の役割)
第10条 大企業者は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業が本町経済の活性化及び町民生活の向上に果たす役割の重要性を理解し、中小企業・小規模企業との連携及び協力に努めるものとする。
2 大企業者は、経営の改善及び向上に取り組む中小企業・小規模企業への技術的支援等に努めるものとする。
3 大企業者は、町内を含む近隣市町で生産され、製造され、若しくは加工される物品又は町内のサービス若しくは技術を本町への来訪者その他町外の居住者に提供することにより、町外からの資金の獲得に努めるものとする。
4 大企業者は、ローカルファーストの考え方に基づき、町内を含む近隣市町で生産され、製造され、若しくは加工される物品の原料等を優先的に町内を含む近隣市町から調達するとともに、その物品又は町内のサービス若しくは技術の提供を受けるよう努めるものとする。
5 大企業者は、町等が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(町民等の理解と協力)
第11条 町民等は、中小企業・小規模企業の振興が本町経済の持続的発展、雇用の創出、豊かで活力ある地域社会の実現及び町民生活の向上につながることを理解し、ローカルファーストの考え方に基づき、消費者として町内の店舗等を利用するとともに、町内を含む近隣市町で生産され、製造され、若しくは加工される物品を消費し、若しくは利用し、又は町内のサービス若しくは技術を利用することにより、中小企業・小規模企業の発展に協力するよう努めるものとする。
2 町民等は、町等が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
第3章 中小企業・小規模企業の振興に関する基本方針
(基本方針)
第12条 町は、次に掲げる中小企業・小規模企業の振興に関する基本方針に基づき、中小企業・小規模企業、支援団体、金融機関等、教育機関等、大企業者、町民等、国、県その他の関係者と連携し、必要な施策を講ずるものとする。
(1) 経営基盤の安定化及び強化
(2) 経営の拡大及び新事業又は新分野への進出の促進
(3) 起業又は創業の促進
(4) 雇用の確保及び労働環境の整備の促進
(5) 産業振興に資する人材の育成及び確保
(6) 地域経済の循環の強化
第4章 小規模企業者等に関する施策
(小規模企業者への配慮)
第13条 町は、中小企業・小規模企業の振興に当たっては、小規模企業者に配慮し、小規模企業者の事業の持続的発展を図るため、経営等に関する支援体制の整備の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。
(商店街等組織への支援)
第14条 町は、中小企業・小規模企業の振興に当たっては、商店街が地域社会の発展及び活性化に寄与することに鑑み、商店街等組織に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
第5章 施策を推進するための措置
(災害等発生時における支援)
第15条 町は、災害等の発生時において、中小企業・小規模企業が速やかに事業を継続することができるよう国、県その他の関係機関と連携し、必要な措置を講ずるものとする。
(広報活動の充実等)
第16条 町は、中小企業・小規模企業の振興を図るため、広報活動の充実、優れた技能功労者の顕彰その他の必要な措置を講ずるものとする。
(調査及び研究等)
第17条 町は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を効果的に推進するため、必要な調査及び研究を実施するものとする。
2 町は、地域経済の循環構造及び資本の流れを客観的に捉えるため、国、県等の関係機関と連携し、地域経済の分析を進めるとともに、その結果について、分かりやすく情報発信する仕組みを構築するよう努めるものとする。
(中小企業・小規模企業振興基本計画の策定及び実施)
第18条 町は、中小企業・小規模企業振興基本計画の策定及び実施に当たっては、中小企業・小規模企業、支援団体、金融機関等、教育機関等その他の関係者とともに会議体を組織し、有識者からの意見聴取等を行いながら、協働により中小企業・小規模企業振興基本計画を策定し、及び実施するものとする。
2 町は、毎年度、前項で規定する会議体において中小企業・小規模企業振興基本計画に関する施策の進捗状況を報告し、評価及び検証を行い、必要な見直しを行うものとする。
(実施状況の公表)
第19条 町は、毎年度、中小企業・小規模企業振興基本計画に関する施策の実施状況を取りまとめ、その成果を公表するものとする。
(財政上の措置)
第20条 町は、中小企業・小規模企業振興基本計画に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第6章 雑則
(委任)
第21条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、町長が定める。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。
(小山町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 小山町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和37年小山町条例第2号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略