○小山町文化財保護条例

昭和52年7月1日

条例第9号

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)及び静岡県文化財保護条例(昭和36年静岡県条例第23号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で、小山町内(以下「町内」という。)に存するもののうち、重要なものについてその保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって町民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書、その他の有形の文化的所産で、町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で、町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能及びこれに用いられる衣服、器具、家具、その他の物件で町民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)

(4) 貝塚、古墳、城跡、旧宅、その他の遺跡で、町にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、山岳その他の名勝地で、町にとって学術上又は鑑賞上価値の高いもの、並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然現象の生じている土地を含む。)で、町にとって学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)

(財産権等の尊重及び他の公益との調整)

第3条 小山町教育委員会(以下「委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

(文化財保護審議会)

第4条 第1条の目的を達成するため、委員会に小山町文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、及びこれらに関する専門的及び技術的事項に関し、必要と認める事項を委員会に建議する。

3 審議会の組織及び所掌事務については、教育委員会規則で定める。

第2章 小山町指定有形文化財

(指定)

第5条 委員会は、町内に所在する有形文化財(法第27条第1項の規定により重要文化財に指定されたもの及び県条例第4条1項の規定により県指定有形文化財に指定されたものを除く。)のうち、町にとって重要なものを小山町指定有形文化財(以下「町指定有形文化財」という。)に指定することができる。

2 委員会は、前項の規定による指定をするときは、あらかじめ指定しようとする有形文化財の所有者の同意を得なければならない。ただし、所有者が判明しない場合は、この限りでない。

3 第1項の規定による指定をするには、委員会は、あらかじめ審議会に諮問しなければならない。

4 第1項の規定による指定をしたときは、委員会は、その旨を公示するとともに当該有形文化財の所有者に通知しなければならない。

5 第1項の規定による指定は、前項の規定による公示があった日から、その効力を生ずる。

6 第1項の規定による指定をしたときは、委員会は、当該町指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第6条 委員会は、町指定有形文化財がその価値を失った場合その他特別の理由があると認めるときはその指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除には、前条第3項から第5項までの規定を準用する。

3 町指定有形文化財が国指定又は県指定の有形文化財に指定されたときは、当該町指定有形文化財の指定は解除されたものとする。

4 前項の場合委員会は、その旨を公示するとともに当該町指定有形文化財の所有者に通知しなければならない。

5 第2項で準用する前条第4項の規定による解除の通知を受けたとき、及び前項の規定による通知を受けたときは、町指定有形文化財の所有者は速やかに町指定有形文化財の指定書を委員会に返付しなければならない。

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第7条 町指定有形文化財の所有者(以下この章において「所有者」という。)は、この条例、規則及び委員会の指示に従い町指定有形文化財を管理しなければならない。

2 所有者は、特別の事由があるときは自己に代わり当該町指定有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者は、当該管理責任者と連署のうえ速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(所有者の変更等)

第8条 所有者が変更したときは、新所有者は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。

2 所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。

(滅失、き損等)

第9条 町指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し又はこれを亡失し、若しくは盗みとられたときは、所有者(管理責任者がある場合はその者)は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第10条 町指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合はその者)は、あらかじめその旨を委員会に届け出なければならない。

(管理又は修理の補助)

第11条 委員会は、町指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、町はその経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付するときは、委員会は必要な条件を付すことができる。

(管理又は修理に関する指示)

第12条 委員会は、町指定有形文化財の管理が適当でないため当該町指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗みとられるおそれがあると認めるときは、所有者又は管理責任者に対し管理方法の改善、保存施設の設置及びその他管理に関し必要な措置を指示することができる。

2 委員会は、町指定有形文化財がき損している場合においてその保存のため必要があると認めるときは、当該所有者に対し適切な措置を執るよう指示することができる。

3 前2項の規定による指示に基づいてする措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内で町の負担とすることができる。

4 前項の規定により町が費用の全部又は一部を負担する場合には、前条第2項の規定を準用する。

(現状変更等の制限)

第13条 町指定有形文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、委員会の許可を受けなければならない。ただし、軽微な行為を執る場合又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、この限りでない。

(修理の届出)

第14条 所有者は、町指定有形文化財を修理しようとするときは、あらかじめその旨を委員会に届け出なければならない。

2 委員会は、町指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは、前項の届出に係る町指定有形文化財の修理に関し指導と助言をすることができる。

(公開)

第15条 委員会は、所有者及び管理責任者に対し、3月以内の期間を限って委員会の行う公開の用に供するため、当該町指定有形文化財を出品することを勧告することができる。

2 委員会は所有者に対し、3月以内の期間を限って当該町指定有形文化財の公開を勧告することができる。

3 第1項の規定による出品のために要する費用は、町の負担とし、前項の規定による公開のために要する費用は、予算の範囲内で町の負担とすることができる。

4 委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る町指定有形文化財の管理に関し、必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について指揮監督することができる。

5 第2項の規定による公開の場合を除き、町指定有形文化財の所在の場所を変更してこれを公衆の観覧に供するため、第10条の規定による届出があった場合には、前項の規定を準用する。

(調査)

第16条 委員会は、必要があると認めるときは、所有者又は管理責任者に対し、当該町指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第17条 所有者が変更したとき新所有者は、当該町指定有形文化財に関し、この条例に基づいてする委員会の指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

2 前項の場合旧所有者は、当該町指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引渡さなければならない。

第3章 小山町指定無形文化財

(指定)

第18条 委員会は、町内に所在する無形文化財(法第56条の3第1項の規定により重要無形文化財に指定されたもの及び県条例第18条第1項の規定により県指定無形文化財に指定されたものを除く。)のうち、町にとって重要なものを小山町指定無形文化財(以下「町指定無形文化財」という。)に指定することができる。

2 委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、当該無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのある者をいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 委員会は、第1項の規定による指定又は前項の規定による認定をするときは、あらかじめ審議会に諮問しなければならない。

4 委員会は、第1項の規定による指定又は第2項の規定による認定をしたときは、その旨を公示するとともに、当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体(保持団体にあってはその代表者)に通知しなければならない。

5 委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りる者があると認めるときは、その者を保持者又は保持団体として追加認定をすることができる。

6 前項の規定による追加認定をするときは、第3項及び第4項の規定を準用する。

(解除)

第19条 町指定無形文化財がその価値を失った場合その他特別の理由があると認めるときは、委員会はその指定を解除することができる。

2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由があると認めるときは委員会は、その認定を解除することができる。

3 第1項の規定による指定の解除又は前項の規定による認定の解除には、前条第3項の規定を準用する。

4 第1項の規定による指定の解除又は第2項の規定による認定の解除をしたときは、その旨を公示するとともに、当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に通知しなければならない。

5 町指定無形文化財が国指定又は県指定の無形文化財に指定されたときは、当該町指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。

6 前項の場合には委員会は、その旨を公示するとともに、当該町指定無形文化財の保持者として認定されていた者又は保持団体として認定されていた団体の代表者に通知しなければならない。

7 保持者が死亡したとき又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この条及び次条において同じ。)は、当該保持者又は保持団体は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき又は保持団体のすべてが解散したときは、町指定無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合には委員会は、その旨を公示しなければならない。

(保持者の氏名変更等)

第20条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ解散したときも同様とする。

(保存)

第21条 委員会は、町指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、町指定無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成及びその他保存のため適当な措置を執ることができるものとし、町は、保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することかできる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第11条第2項の規定を準用する。

(公開)

第22条 委員会は、町指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し、町指定無形文化財の公開を、町指定無形文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。

2 前項の規定による町指定無形文化財の公開には、第15条第3項及び第4項の規定を準用する。

3 町は、第1項の規定による町指定無形文化財の記録の公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

4 前項の規定により補助金を交付する場合には、第11条第2項の規定を準用する。

(保存に対する指導助言)

第23条 委員会は、町指定無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な指導又は助言をすることができる。

第4章 小山町指定民俗文化財

(指定)

第24条 委員会は、町内に所在する有形の民俗文化財(法第56条の10第1項の規定により重要有形民俗文化財に指定されたもの及び県条例第24条第1項の規定により県指定有形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち、町にとって重要なものを小山町指定有形民俗文化財(以下「町指定有形文化財」という。)に、無形の民俗文化財(同項の規定により重要無形民俗文化財に指定されたもの及び県指定無形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち町にとって重要なものを小山町指定無形民俗文化財(以下「町指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による町指定有形民俗文化財の指定には、第5条第2項から第6項までの規定を準用する。

3 第1項の規定による町指定無形民俗文化財の指定には、第18条第3項から第6項までの規定を準用する。

(解除)

第25条 委員会は、町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財がその価値を失った場合その他特別の理由があると認めるときは、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による町指定有形民俗文化財の指定の解除には、第6条第2項及び第5項の規定を準用する。

3 第1項の規定による町指定無形民俗文化財の指定の解除には、第19条第3項及び第4項の規定を準用する。

4 町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財が国指定又は県指定の有形民俗文化財若しくは無形民俗文化財に指定されたときは、当該町指定有形民俗文化財及び町指定無形民俗文化財の指定は解除されたものとする。

5 前項の場合の町指定有形民俗文化財の指定の解除については、第6条第4項及び第5項の規定を準用する。

6 第4項に係る町指定無形民俗文化財の指定の解除については、第19条第6項の規定を準用する。

(有形民俗文化財の保護)

第26条 町指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめその旨を委員会に届け出なければならない。

2 委員会は、町指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、前項の届出に係る町指定有形民俗文化財の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し、必要な指示をすることができる。

(町指定有形民俗文化財に関する準用規定)

第27条 第7条から第12条まで及び第14条から第17条までの規定は、町指定有形民俗文化財について準用する。

(町指定無形民俗文化財に関する準用規定)

第28条 第21条第22条及び第23条の規定は、町指定無形民俗文化財について準用する。

(無形民俗文化財の記録作成等)

第29条 委員会は、町指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち、特に必要のあるものを選択して自らその記録を作成し、保存し、又は公開その他保存のため適当な措置を執ることができるものとし町は、保存に当たることを適当と認める者に対し、当該無形の民俗文化財の公開又はその記録の作成、保存、若しくは公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 第1項の規定による選択には、第18条第3項の規定を準用する。

3 第2項の規定により補助金を交付する場合には、第11条第2項の規定を準用する。

第5章 小山町指定史跡名勝天然記念物

(指定)

第30条 委員会は、町内に所在する記念物(法第69条第1項の規定により史跡、名勝又は天然記念物に指定されたもの及び県条例第29条第1項の規定により県指定史跡、名勝又は天然記念物に指定されたものを除く。)のうち、町にとって重要なものを小山町指定史跡、小山町指定名勝、小山町指定天然記念物(以下「町指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定には、第5条第2項から第6項までの規定を準用する。

(解除)

第31条 委員会は、町指定史跡名勝天然記念物がその価値を失った場合その他特別の理由があると認めるときは、その指定を解除することができる。

2 町指定史跡名勝天然記念物が国指定又は県指定の史跡名勝天然記念物に指定されたときは、当該町指定史跡名勝天然記念物の指定は、解除されたものとする。

3 第1項の規定による指定の解除には、第6条第2項の規定を、前項の場合には、第6条第4項の規定を準用する。

(標識の設置)

第32条 町指定史跡名勝天然記念物の所有者は、町指定史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲柵その他の施設を設置するものとする。

(土地所在等の異動届出)

第33条 町指定史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったときは、所有者(管理責任者がある場合はその者)は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。

(現状変更等の制限)

第34条 町指定史跡名勝天然記念物に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、委員会の許可を受けなければならない。ただし、軽微な行為を執る場合又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、この限りでない。

(準用規定)

第35条 第7条から第9条まで、第11条第12条第14条第16条及び第17条第1項の規定は、町指定史跡名勝天然記念物について準用する。

第6章 補則

(委任)

第36条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、委員会規則で定める。

1 この条例は、昭和52年7月1日から施行する。

2 この条例の施行の際、現に改正前の小山町文化財保護条例(昭和43年小山町条例第12号)によって小山町指定文化財に指定されているものは、この条例によって指定されたものとみなす。

小山町文化財保護条例

昭和52年7月1日 条例第9号

(昭和52年7月1日施行)

体系情報
第7編 育/第4章 文化財
沿革情報
昭和52年7月1日 条例第9号